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熊沢 蕃
Proceedings of 10th International Congress of the International Radiation Protection Association (IRPA-10) (CD-ROM), 12 Pages, 2000/05
放射線健康リスクは今日、一般の健康リスクと比較して適正に管理することが求められているため、そのための共通した数学的基礎を示した。リスク増加は比例効果則に従い(比率的に)起こる一方、リスクの管理はフィードバック的に働くと仮定すると、管理されたリスク量は対数から線形に連続的に変化する混成目盛を導入すると体系的に表させることを理論及び実測データを用いて示した。まず、半世紀間に及ぶ職業線量データが線量基準変遷に対応して混成目盛上で管理効果により線形目盛側シフトの傾向を示していること、このような規則性は他分野におけるリスク管理にも見られ、この量の変化の特徴は混成目盛の構造を持つことを示した。次に、混成目盛による方眼紙はICRP放射線防護システムがもたらす量の入出変換過程及び放射線に伴う生物の線量-反応関係の量の変換過程が統一的に示す数学構造を与えることを実測データ例も含め示した。
廣内 淳; 鯨岡 郁雄; 高原 省五; 高田 モモ*; 甲斐 倫明*; Schneider, T.*; Lecomte, J.-F.*
no journal, ,
算出されたリスクに基づく放射線防護基準の根拠を検討する際には、統計的なベンチマークデータが必要である。これまでは、英国王立協会のリスク評価研究がベンチマーク統計として用いられてきた。本研究では、ベースラインとなるがんの罹患率と死亡率に着目し、放射線に関連するがんリスクと比較する。ここでは、各国のがん罹患率と死亡率のデータを用いて計算した生涯死亡リスクと罹患リスク、障害調整生存年(DALYs)を発表する。結果の一つとして、各指標は国間によって異なり、生涯死亡リスクは0.120.30、生涯罹患リスクは0.220.54、DALYsは0.0100.044yの値を取り、放射線に関連するがんリスクと比較する際に有用なデータを提供した。
廣内 淳; 鯨岡 郁雄; 高原 省五; 高田 モモ*; 甲斐 倫明*; Schneider, T.*; Lecomte, J.-F.*
no journal, ,
ICRPでは、放射線被ばくによる健康への有害な影響を定量化するために"デトリメント"という概念を利用している。デトリメントは、致死的ながんの致死割合、非致死的ながんに罹患していることによるQOLの低下、害が発生した場合の余命損失が考慮されている。デトリメントは、放射線被ばくの分野でのみ使用されている指標であり、化学分野や環境分野などで使用されている他のリスクと比較することはできない。そこで本研究では、他の分野でも利用されているリスク指標DALY(病的状態や障害、早死により失われた年数を表す)に着目し、放射線被ばく時のDALYを37か国で求めた。DALYは被ばくで生じたがんによる死亡で短くなった損失余命と、がんの症状の重さと罹患から死亡までの長さに応じて失われた健康年数の和で求めた。ここで被ばく条件は、被ばく時年齢1865歳(職業被ばく想定)、被ばく線量20mSv/y(生涯約1Sv相当)とした。その結果、DALYは0.0030.007y/人となり、諸外国の死亡率の上位である虚血性心疾患と脳卒中(0.010.1y/人程度)よりも低い値であった。
鯨岡 郁雄; 野口 芳宏*; 嶋田 和真; 廣内 淳; 高原 省五
no journal, ,
国産の放射線誘発がんリスクの推定モデルを実装した計算コードを開発するために、公開されている他国の既存の計算コード(RadRAT (U.S.NIH)、Blue Book Model (U.S.EPA)、Korean-Specific Model(FNC Technology Co, Ltd))と、これらのコードの基本となるBEIR VII(米国科学アカデミーの電離放射線の放射線健康リスクに関する報告書)を調査し、3つのコードとBEIR VIIモデルの計算結果を比較した。各コードとBEIR VIIで計算した全固形がんの生涯寄与リスクのうち、特にKorean-Specific Modelで計算した結果については、他と有意な差が認められた。この原因の一つはいくつかの組織や臓器のリスク移転に関するパラメータがコード間で異なっていることであり、このことは日本版コードの開発において慎重に検討されるべき課題の一つである。